Tokyo Metropolitan University
Tourism Strategy

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実践観光学習・見学会

2019.06.26

第1回実践観光学習見学会開催レポート 日本橋エリア 三井不動産株式会社 七尾克久様

三井不動産株式会社 七尾克久様
三井不動産株式会社 七尾克久様

2019年4月22日、三井不動産株式会社様にご協力いただき、日本橋エリアで「第1回実践観光学習見学会」が開催されました。冒頭、三井不動産株式会社日本橋街づくり推進部長七尾克久様に、日本橋エリアにおける取り組みについてご講演頂き、その後参加企業の皆さまと日本橋エリアを見学しました。

講演要旨

日本橋の歴史

徳川家康が江戸の都市づくりを進めるにあたり、道三堀の掘削や江戸城築城のための資材や食料を運ぶルートの確保が必要となり、水運の拠点であった日本橋に多くの商人が全国から集まりました。その後、魚河岸(流通)、金座(金融)、越後屋(商業)、江戸歌舞伎(文化/娯楽)が集結する日本橋は江戸の町人地の中心として発展していきました。

地名にもなっている日本橋は1603年(慶長8年)に初代が架橋。翌年には江戸幕府によって日本橋が国内里程の原標と定められ、全国街道の一里塚の総起点となります。その後、災害などによって幾度も焼失と再建を繰り返し、現在の日本橋は1911年(明治44年)に当時の東京市によって造成されたものです。

江戸からの伝統が続く日本橋には、近江出身の西川産業、白木屋、柳屋、伊勢の三井越後屋、国分、にんべん、木屋、小津和紙店、三河の伊場仙、京都の山本山、綱島の山本海苔店、飯能の榮太樓總本舗、越谷の千疋屋總本店など、100年以上続く老舗店が多く存在していることが特徴です。

残しながら、蘇らせながら、創っていく

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歴史的建造物や伝統ある老舗街の文化を「残しながら」、街の景観や水と緑などの賑わいを「蘇らせながら」、次世代に向けた新たな街の魅力を「創っていく」。
江戸時代、商業、金融、物流、文化の中心地として栄え、空前の賑わいを誇った日本橋を再生しようと、日本橋にルーツを持つ三井不動産が再生計画を推し進めています。再生計画では産官学の幅広い人々の交流・連携により新たな産業を創り出す「産業創造」、路地を含めた通りを再生し、賑わいも創りだす「界隈創生」、地元住民と協力しながらお祭りやイベントを実施していく「地域共生」、首都高の地下化や再開発により水の都日本橋を再生させる「水都再生」の4つがコンセプトになっています。

そうしたコンセプトを具現化するために三井不動産は、「賢く住み」、「賢く働き」、「賢く憩える」複合的ソフトサービスを提供し、金融や医薬をはじめとする成長産業や先端業種の人々が交流し刺激し合える拠点づくりに力を入れています。また、緑豊かな憩いの空間を創出し、オンタイム/オフタイム双方が充実するよう知的生産性向上を後押しする創造的な環境整備も進めています。災害対策としては、近隣施設に電気と熱を供給できる独自の高効率ガス発電設備を設置している他、江戸桜通りの地下部を中心に災害時の帰宅困難者を収容するための3,000㎡の空間を整備しており、エネルギー利用と防災性能を日本橋エリア全体で飛躍的に高める取り組みをしています。

日本橋におけるインバウンド

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日本橋エリアを訪れる訪日外国人旅行客の大半はFIT(海外個人旅行)の欧米の旅行者で、特徴として日本通で知的文化体験を求めており、自身が行きたい場所、やりたいこと、食べたいものが明確となっている観光客が多いことが挙げられます。

そうした観光客のニーズに応えるべく、英語のガイドで着物の着付けや茶道などの日本文化を気軽に体験することができるアクティビティ・ツアー「Omotenashi Nihonbashi」が毎日催行されており、外国人観光客にも日本橋の誇る文化と伝統に親しんでもらうプログラムが提供されています。

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また、日本橋で本物の能や狂言をワインや料理を楽しみながら気軽に観劇することができる舞台「水戯庵」が福徳神社下にオープン。能や狂言の演者が交代で舞台に立ち、30分程度の実演のあとはそれぞれの客席を演者がまわって解説してくれるなど、敷居が高かった伝統芸能を身近に楽しむことができることから外国人観光客にも人気を博しています。

日本橋エリア見学

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講演後は、3チームに分かれて、「Omotenashi Nihonbashi」のガイドさんの案内で日本橋エリアを見学しました。江戸桜通りで日本橋の概要を簡単に説明いただき、コレド室町に向かいました。コレド室町では創業227年の刃物・包丁を取り扱う商店「木屋」さんで包丁研ぎを実演いただいたり、創業320年の鰹節商店「にんべん」さんで鰹節削りを体験させていただいたりしました。その後、再開発に合わせて再建した福徳神社をお参りし、神社の地下部分に2018年に新たにオープンした「水戯庵」で狂言の実演を楽しませていただきました。わずかな時間でしたが、伝統と革新が融合する日本橋の魅力を実際に見て、触って、歩いて、存分に感じることができました。日本橋エリアは今後も再開発が続く計画で、2021年以降には日本橋を覆う首都高速道路の地下化工事が着工する見通しです。これまでの日本橋とこれからの日本橋に思いを馳せながら、散会となりました。

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