Tokyo Metropolitan University
Tourism Strategy

「東京都公立大学法人」が行う観光戦略プロジェクトのオフィシャルメディアです

観光戦略研究会

2020.10.19

第1回観光戦略研究会 株式会社Huber.代表取締役CEO 紀陸 武史 様

講師:紀陸 武史 氏
株式会社Huber.代表取締役CEO
講師:紀陸 武史 氏
株式会社Huber.代表取締役CEO

東京都公立大学法人では、観光戦略プロジェクトの一環で、プロジェクトに賛同してくださった産業界の方々にお集まりいただき、新しい時代の観光のあり方を幅広く、多面的に、かつ深く研究する観光戦略研究会を実施しています。最終年度となる今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、観光産業がこれまでに経験したことがない甚大な打撃を受け、依然として厳しい状況にあることを踏まえ、「コロナ後の観光をどう再興するか」をテーマとした研究会を開催致します。

2020年7月30日(木)に今年度第1回目の観光戦略研究会をオンラインで実施しました。今回は株式会社Huber. 代表取締役CEO である紀陸 武史 様を講師に迎え、「withコロナ時代におけるインバウンド観光の在り方について」をテーマにご講演頂きました。

プロフィール:

2004年ソフトバンクBB株式会社入社。2010年株式会社よつば制作所の創業メンバーとして営業・新規事業の取締役に就任。2013年ソフトバンクアカデミアの新規事業提案にて優勝、ビジネスプランナーとしてソフトバンクのヘルスケア新規事業開発に従事。2014年株式会社よつば制作所を退職、電通にて新規事業のPJリーダーに就任。2015年鎌倉にて株式会社Huber.を設立、現在に至る。

Huber.について

2015年よりインバウンドに特化したガイドのマッチングプラットフォームを運営。昨年度より観光案内所と地域 PR 事業を主軸に移して、以下の三つを事業の柱として推進しています。

  1. 訪日外国人向け観光案内所
  2. 地域 PR 事業
  3. 訪日・在住外国人向けガイド・マーケティング

観光案内所は全国10店舗(2020年春)で展開。地域を越えたネットワーク型運営を指向。情報の発信に留まっていた従来の観光案内に留まらず、観光客には手の届かない踏み込んだ日本体験の斡旋を行っています。

またガイドが同行することで訪日外国人客の潜在需要に気付くことが出来るため、ガイドをマーケティングに転用するという手法に取り組んでいます。

外国人は2〜3週間滞在し、7割の人が滞在中行き先を変えることが分かりました。そこで訪日中の外国人を勧誘し、Huber.ガイドが忘れ難い体験に誘うことで旅行者を地域のファンにさせ、良質な口コミを産み出すことに成功しています。

Withコロナ時代の観光産業の転換

Huber.では従来、欧米豪のインバウンド観光客を対象に事業を進めてきました。しかしコロナ禍により、訪日客の戻りに見通しが立たず、今後1〜2年はインバウンドに頼れない我慢の時期が続くものと考えられます。Huber.もインバウンド向けから在住外国人や日本人向けにサービスを転換しました。

バケーションからワーケーションへ 〜観光の主役は地方に〜

コロナ禍は国民のライフスタイルに大きな変化をもたらしました。旅行に忌諱感が感じられ観光産業が下火になる中においても、ADDress(https://address.love/) や HafH(https://www.hafh.com/) と呼ばれるリモートワーカー向けの定額制多拠点生活サービスは順調に業績を伸ばしています。

企業のリモートワーク施策が普及したことで、約9割の会社員がリモートワークを推奨される時代となりました。また首都圏在住者10,000人を対象に行われたアンケートにて、
地方への移住に「強い興味」を持つ人たちが15%を超える状況となり、就業意識等にも大きな変化が生まれています。(関心がある程度であれば、約50%にまで広がっている)

  • 密集空間の敬遠
  • テレワークによる職住の距離的分離
  • ライフスタイルを重視する姿勢
  • 職業意識の変化

という都市住民の都合(ライフスタイルの変容)により、時間を掛けずに地域のサポーターを増やす好機が訪れたと考えられます。 

Huber.では、ワーケーション/リモートワークをしながらまちの広報を担う「遊ぶ広報サービス」の提供を検討しています。地域でリモートワークのついでに遊んでもらい、SNSで地域の情報を発信するというサービスです。

都心在住で移住に興味のある20〜40代のリモートワーカーを募集し、Huber.にて面談/研修後、取材先地域とマッチングします。

自治体側のメリットとして、

  • 国内のワーケーション需要を取り込める
  • SNS 上に良質な口コミを蓄積でき、継続的な地域 PR に貢献できる
  • 二拠点居住先としての PR も可能
  • 「遊ぶ広報担当者」自身がまちのファンになり、移住へのハードルも下がる

ことが挙げられます。

リアルとオンラインの融合 〜オンラインツアー×物販〜

株式会社島ファクトリーによる島根県海士町のリモートトリップ(https://bit.ly/31PgMc9)は、オンラインツアーと物販を組み合わせた意欲的な試みです。ツアー参加者は予め海士町産の牡蠣やサザエなどの詰め合わせを購入し、画面越しに旅をしながら一緒に牡蠣を食べる体験を共有します。第1回の参加者30人のうち9割以上の参加者が7千円の牡蠣の詰め合わせを購入しました。参加者とガイドが仲良くなることで、実来訪にもつながると予想されます。これは示唆に溢れる事例だと感じています。


顔の見える観光へ 〜人と人の繋がり 信頼関係が重要に〜

従来型の効率に注力した観光ではなく、「関係性」に注力する取り組みがアフターコロナでは重要になると思われます。

Huber.の十津川村での取り組みは、まず2名のスタッフが現地に移住することから始めました。一緒に暮らしながら、ガイドとして訪日外国人旅行者を案内し、地域住民との関係性を深めていく中で、早期に住民の方々に受け入れて頂けたと感じています。
そういった地に足のついた取組みと関係性構築の結果、「Huber.さんがやるなら大丈夫」と地域住民の方々が納得していただける関係性が生まれました。我々は地方が主役になる時代においては、この信頼関係こそがすべての鍵となると考えます。

現在はアナログに振り切り泥臭いことをやっていますが、その中に新しいテクノロジーをどのようにして混ぜていくかを真剣に考えています。

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