Tokyo Metropolitan University
Tourism Strategy

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観光戦略研究会

2018.12.05

第5回観光戦略研究会 A.T.カーニー日本法人会長 梅澤 高明 様

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9月12日(水)に第5回観光戦略研究会を開催しました。今回は、A.T.カーニー日本法人会長 梅澤 高明 様を講師に迎え、「東京の将来都市ビジョン“NEXTOKYO”と観光都市戦略」をテーマに講演頂き、その後、参加企業の皆さまと議論を行いました。

梅澤様は日米で20年にわたり戦略・マーケティング・組織関連のコンサルティングを実施してこられ、現在はポスト2020の東京を、世界一魅力的な国際都市NEXTOKYOに進化させようと民間プロジェクト「NEXTOKYO Project」を設立し、共同リーダーとしてご活躍されています。

講演では森記念財団、A.T.カーニー、モノクルがそれぞれに発表している世界の都市ランキングから都市間競争における東京の現状の位置付けをご説明頂き、「東京は観光都市として高いポテンシャルを持っている一方で、受入れ体制については改善を要し、それぞれの街が持つコミュニティ感を守っていくことが必要である」との見解を述べられました。その上で、東京の将来の方向性や再開発のあり方についての問題意識と「NEXTOKYO Project」のビジョン設計の基本思想についてお話しくださり、東京の観光都市戦略の重点課題として以下の5つを挙げられました。また、多言語対応、キャッシュレス化、ライドシェア解禁については必要条件として取り組むべきとご指摘されました。

講演終了後のQ&Aセッションでは、参加企業各社よりナイトタイムエコノミー、多言語対応、キャッシュレス化などの多岐にわたった質問があり、活発な意見交換がなされました。

ご提言

(1)MICE/IR
現状
  • ICCA国際会議開催件数ランキング(都市別、2017年)によると、東京は開催件数101件で世界第18位。
  • アジアの都市の中においては、第6位シンガポール、第10位ソウル、第13位香港、第17位バンコクに次いで5番目。
  • 都市評価がアジアNo.1であるにもかかわらずMICEの開催件数は非常に少ない。
  • 国際会議や見本市で来訪するビジネス客は、1泊当たり消費金額が多く、その後のリピート需要にもつながる優良顧客層。
提言
  1. 大型・統合型のMICE施設を東京都心部に作ることが重要。
  2. MICE施設単体の収益性は低いので、実現に向けては東京都の支援が必要不可欠。
(2)富裕層観光
現状
  • 東京都内の5つ星ホテル数は19施設と、バンコク、香港、シンガポールに比べて低水準(2018年9月現在)。
  • ビジネスジェットの活用において東京は大きく遅れを取る。発着回数で見るとニューヨーク、パリ、ロンドンと数倍~数十倍の差。
提言
  1. 自然・歴史・アート・食・健康・マインドフルネスなど富裕層の関心が高いコンテンツの充足、「Japan」というワードですぐに想起されるものではなく、今まで見たことのないような体験や、その場所でしかできないユニークな体験の充足が重要
  2. VIP・個別対応で快適・上質なサービスは富裕層誘致において必要条件。入国から出国まですべての面でストレスと無駄のない動線を確保し、高品質の宿泊ファシリティやサービスを提供するトータルコーディネートが不可欠
(3)ナイトタイムエコノミー
現状
  • 「ギャンブルやショー体験」、「ナイトライフ体験」、「国内のプロスポーツ観戦」など夜間に関連する項目が「日本旅行で最も不満だった点」として挙げられている(「DBJアジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査」2014年)。
  • 渋谷や新宿、銀座などの街ですら、ナイトライフは街の魅力としてほとんど認識されていない(東京都「国別外国人旅行者行動特性調査」2017年度)。
提言(「自由民主党ナイトタイムエコノミー推進議連」中間提言より)
  1. コンテンツの拡充(ロングラン公演のコンテンツ、夜の景観)
  2. 場の整備(ユニークベニューの活用、文化・芸術施設の仮設建築物の存続期間延長)
  3. 交通アクセス(鉄道・バスの深夜営業、相乗りタクシー)
  4. 安心・安全の確保(日本版「パープルフラッグ」制度:安全なエリアの認証制度)
  5. プロモーション(多言語の情報発信サイト・アプリ、外国人向けチケッティングの仕組み)
(4)それぞれの街の独自進化
提言
  1. 東京はエリアごとに独自の文化が根付いているため、エリアごとに柱となる文化コンテンツを集積し、世界に発信していくクリエイティブ・クラスターを形成。
    池袋=舞台芸術、「腐女子」街
    新宿=ナイトエンタメ
    原宿・渋谷=ストリートファッション、音楽・クラブ
    六本木=アート、クラブ
    銀座=ショッピング、伝統芸能
    秋葉原=電脳、サブカル
  2. TOKYO Bayの再開発
    ラン・自転車コース、埠頭・ヨットハーバー、海上・河川上の動線、洋上エンターテイメント
(5)外国人材の本格的活用
提言
  1. 観光資源の発掘・編集、マーケティング、パートナー開拓を実施する「観光プロデューサー人材」、料理人、コンシェルジュ、専門ガイド、アクティビティインストラクターといった「専門職」に対するビザ緩和を進め、積極的に活用していく。
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