Tokyo Metropolitan University
Tourism Strategy

「公立大学法人首都大学東京」が行う観光戦略プロジェクトのオフィシャルメディアです

観光戦略研究会

2018.08.26

第4回観光戦略研究会 森ビル株式会社取締役常務執行役員 河野雄一郎 様

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7月12日(木)に第4回観光戦略研究会を開催しました。今回は、森ビル株式会社取締役常務執行役員・河野雄一郎氏を講師に迎え、「都市観光の魅力向上に向けて」をテーマにご講演頂き、その後、参加企業の皆さまと議論を行いました。

講演の冒頭、2017年の世界の都市総合力ランキングで東京が3位であることについて、「日本は2016年にパリを抜いて3位に浮上しているが、上位2都市(ロンドン・ニューヨーク)と比較して、“文化交流”と“交通アクセス”の2分野が弱く、改善していくことが必要である」と指摘され、以下の6つの観点から都市観光の魅力向上に向けた提言をお話しくださいました。

講演終了後のQ&Aセッションでは、参加企業各社より森ビルの都市開発哲学、都市プロモーション、ナイトタイムエコノミーの活性化、民泊などの多岐にわたった質問があり、活発な意見交換がなされました。

ご提言

(1)道路・公園などの公共空間の活用
現状
  • 道路上でイベント・広告掲出等を行う場合、道路法や屋外広告物法等の法律・条例に基づきぞれぞれの所管(地方自治体・警察等)の許可が必要となる。
  • 法令上の特例により要件を満たせば実施可能ではあるが、一元的な動きとはなっていない。
  • 実施許可を満たしたとしても制限が多く、ダイナミックな演出が難しい。
  • 公園において施設の設営やイベントを開催する場合、公園管理者(都・区による指定管理者)の占有許可が必要となる。
  • 法律上の規制は多くなく、公園管理者が許可をすれば足りるが、公園管理者から許可を取得する事自体のハードルが高い。
提言
  1. 地域活性/文化振興・被災地復興等の企画については特定のエリアにおける道路法などの一元的な規制緩和
    → 公共空間の幅広い活用により、ダイナミックな演出が可能となる。
  2. 公園全体を活用したパークマネジメントを民間発意で公募
    → 誰もが来られるのに誰も来ない公園から、賑わいを創出し来たくなる公園へ。
(2)文化施設の拡充/仮設建築物の活用
現状
  • 諸外国と比較し劇場・コンサートホール等の文化施設が少ない。
  • 都内のコンサートホールは老朽化のため閉鎖、建て替えが相次いでいる。
  • 土日祝日に利用が集中している。
  • 用途変更後の建築物が、既存不適格となる可能性がある。
  • 都市観光の重要な要素である文化施設の整備・運営事業は、他の事業と比較し収益性が劣る。
  • 事業者が整備・運営するインセンティブが低く、魅力的な文化資源があるにもかかわらず、都市観光の強みになっていない。
提言
  1. 仮設建築物の有効期限の延長(1年→3年)、手続きの簡素化
  2. 既存建築物の活用
  3. 文化・スポーツ施設の設置・運営に対する支援措置の創設
  4. 文化・スポーツ施設で行われるイベント等に対する寄付・税制の拡充
  5. 安全を担保した上での、多様な用途変更を可能とする仕組みづくりと手続きの簡素化
(3)都市や街の"らしさ"を引き出すまちづくり
現状
  • 地方都市の駅前の様子を見るに、どの都市もあまり都市や街の「らしさ」を表現できていない。(例)京都駅前や秋田駅前を見ても、どこの駅だか全くわからない。
提言
  1. その地域のもつ魅力・特徴を最大限引き出すまちづくり

(4)交通・アクセスの利便性向上
現状
  • 東京は空港アクセスが未だ他の観光先進都市と比較し脆弱であり、空港と都心部のアクセス強化は急務である。
  • 仕事帰りの20時以降に観劇したい観客と、劇場スタッフの終電を考慮して19時開演が限界の劇場側とのミスマッチが生じている。
提言
  1. 都市観光の充実のための都心部と羽田空港・成田空港とのアクセス強化の早期実現に向けた東京都・国の更なる連携
  2. 公共交通機関の深夜運行について
    • JR/私鉄/地下鉄の1~2時間の深夜延長(週末だけでもOK)
    • 外国人観光客向けに山手線の内側エリアのみ深夜延長/相乗りタクシーの普及
    • 郊外エリアには、深夜バスの充実、既存路線への他社相乗り
(5)安心・安全の確保
提言
  1. 既存の町会・商店街・エリアマネジメント団体等を活用した「エリアの安心」の構築 (例)観光ポリス、生活安全パトロール隊、サポートクルー

(6)プロモーション

現状
  • 旅行前の情報収集は、インターネットや知人経由、口コミがほとんどである。
提言
  1. 美術館等の公共施設での撮影許可
    → 美術館の展示等は撮影を許可することにより、訪問者がSNSで情報を発信できるようになり、集客につながる。
  2. 旅行者の特性やニーズに合わせた情報発信
    → 旅行スタイルが多様化した現代では、情報発信も旅行者のニーズに合わせて多様化する必要ある(かつてはガイドブックやパンフレットが情報収集の主体だったが、現在はSNS、動画、個人ブログ等からの情報収集が主体で、情報も多様化している。)
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