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アイデアソン

2019.02.08

第6回アイデアソン 自然電力株式会社代表取締役 磯野 謙 様

自然電力株式会社代表取締役 磯野 謙 様
自然電力株式会社代表取締役 磯野 謙 様

11月21日(水)に第6回アイデアソンを開催しました。今回は、ゲストスピーカーに自然電力株式会社代表取締役の磯野謙氏をお迎えしました。

【ゲストプロフィール】

大学卒業後、株式会社リクルートにて、広告営業を担当。その後、風力発電事業会社に転職し、全国の風力発電所の開発・建設・メンテナンス事業に従事。主に新規事業を担当。
慶應義塾大学環境情報学部卒業。
コロンビアビジネススクール・ロンドンビジネススクール MBA。

KEY SPEECH

創業のきっかけ
KEY SPEECH

「もっと自然エネルギーの活用を」との磯野氏の思いは、2011年の東日本大震災とそれに伴う原発事故で確信に変わり、震災後の惨状に背中を押されるようにして、2011年6月に自然電力株式会社を設立しました。同社は自然エネルギー発電所建設のための企画・開発、資金調達をはじめ、設計、機器調達、建設、運営管理、電力の販売・サポートなど、自然エネルギーに関するあらゆる事業を展開しています。

設立から7年を経た現在、世界約30カ国からの外国人を含め、20~30代を中心とした従業員は190人を数えるようになり、自然電力グループ全体で全国60余の発電所を建設、原発1基分のプロジェクトに相当する合計約1ギガワットの開発実績を残しており、日本以外にもインドネシア、フィリピン、ブラジルにてプロジェクトを展開しています。

全ては未来のために

自然電力株式会社は、事業を運営するにあたり「Work for the future, not for investors」(投資家のためではなく未来のために)を標榜し、具体的には3つの事業方針で運営しています。

①「No IPO」
上場すれば投資家のために働くことになり、長期的視点で社会問題の解決を目指す妨げにもなるため、非上場を選択しました。

②「Over 1GW development/asset under management over 400 m EURO(2018)」(1GW以上の開発/500億円以上のアセットマネジメント2018)
発電所建設には莫大な資金が必要なため、日本最大の公共事業運営会社の東京ガスと資本業務提携を締結、また、日本最大の不動産ファンドKENEDIXと事業提携して共同でインフラファンドを運営しています。

③「Partnership with dominant players」(優良企業とのパートナーシップ)
世界有数のデベロッパーでありEPC企業でもあるjuwiと合弁会社を設立することで、最先端の知識や購買網を生かして事業を進めています。

グローカル

自然電力株式会社は、年齢や国籍に捉われない人材の採用、抜擢を心掛けているため、約20カ国の従業員が在籍しています。

現在はブラジルで現地法人を設立して太陽光発電のプロジェクトを進めており、最終的には196カ国のすべての国々での事業展開を目指すとしています。

一方で、地方の人と同じ目線に立つことの重要性に鑑み、業界の枠に捉われず多岐に渡る事業展開が必要であると考え、熊本県合志市と佐賀県唐津市では、保有発電所の収益の約1%を寄付して、地域のために活用する「1% for community」という地域還元事業を実施しています。

また、農業インフラへの設備投資と同時に、地元農産物を活用した商品開発も推進中で、これは地域の農産物を活用した商品がメディアに採り上げられることによって、当地の知名度向上を目指します。

さらに変わったところでは、株式会社The Chain Museumと提携し、風力発電所をアートにする試みも始めており、こうした価値観の多様性認知が、世界中の自然エネルギーの取り組みにも貢献できるはずです。

日本の現状とグローバル企業の取り組み

世界の産業エネルギーのうち、自然エネルギーの占める割合は約30%で、2040年には60%を超えると予測されていますが、火力や原子力に依存する日本の自然エネルギーは約10%にしかすぎず、この普及は諸外国に比べ大幅に遅れていて「環境後進国」と揶揄されています。

太陽光発電のコストは10年前の10分の1程度と大きくダウンしており、コスト面の導入障壁は低くなっていることから、世界的に自然エネルギー普及の流れは急であるにも関わらず、残念ながら日本はこの劇的な価格変化にも対応できていません。一方でアメリカは今後、風力発電に注力することを宣言しました。

そして今、世界では「RE100」が大きなトレンドになっています。地球温暖化防止のため、民間企業が自社で使用するエネルギーを遅くとも2050年までに、100%自然エネルギーで賄うことを目標に、電力購入の多いAppleやGoogleなどの世界的企業や、日本ではソフトバンクが積極的に取り組んでいます。

自然電力の小布施町での取り組み

葛飾北斎が晩年を過ごした町とされ、芸術の町として名高い人口約1万人の長野県小布施町と地元企業とともに、電力の地産地消プロジェクトである合弁会社「ながの電力」を2018年8月に設立し、その年の11月には電力販売を開始しました。今後は、電気の地産地消の「自然エネルギー事業」だけではなく、地域特有の課題を解決する「生活インフラサービス事業」も展開する予定です。

さいごに

KEYNOTE SPEECHの後、Q&Aセッションにおいて、磯野氏は「自然電力をSFCのような企業にしたい」と自身の将来展望を明かした後、「自然電力は日本の現代社会の闇に対し、また資本主義のロジックに対して挑戦し続ける」と力強く語ってくださいました。

次回は、スタンダードトランザクション株式会社 代表取締役 井本勝様をゲストにお迎えします。

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