Tokyo Metropolitan University
Tourism Strategy

「公立大学法人首都大学東京」が行う観光戦略プロジェクトのオフィシャルメディアです

アイデアソン

2018.08.20

第2回アイデアソン 観光×マーケティング ゲスト 清水哲夫様 青木優様

6月20日(水)に第2回アイデアソンを開催しました。今回は、清水哲夫氏(首都大学東京 都市環境学部観光科学科 学科長) 、青木優氏(株式会社MATCHA 代表取締役社長) をゲストスピーカーとしてお迎えしました。

首都大学東京 都市環境学部観光科学科 学科長 清水哲夫氏

東京工業大学から博士(工学)授与。東京大学大学院工学系研究科准教授などを経て、2011年より首都大学東京大学院都市環境科学研究科教授に就任。2018年より現職。2017年より公益社団法人日本観光振興協会総合調査研究所所長を兼務。研究分野は交通学および観光政策・計画学。2010年に「観光統計を活用した実証分析に関する論文表彰」で観光庁長官賞を受賞。多数の専門委員会で委員等を務める。

株式会社MATCHA 代表取締役社長 青木優氏

1989年、東京生まれ。明治大学国際日本学部卒。株式会社 MATCHA 代表取締役社長。内閣府クールジャパン・地域プロデューサー。学生時代に世界一周の旅をし、2012年ドーハ国際ブックフェアーのプロデュース業務に従事する。デジタルエージェンシーaugment5 inc.に勤めた後、独立。2014年2月より訪日外国人向け WEB メディア「MATCHA」の運営を開始。「MATCHA」は現在10言語、世界200ヶ国以上からアクセスがあり、様々な企業や県、自治体と連携し海外への情報発信を行なっている。

清水教授のKEY SPEECH

ビッグデータ時代
清水教授のKEY SPEECH

ビッグデータが氾濫する時代。観光分野においては駆使できる人が圧倒的に不足しているようです。企業経営者や首長は自らがデータ分析をする必要は小さく、部下が持ってくる分析結果を基にした判断ができれば十分ですが、そのためにはデータそのものを理解する最低限の知識が求められています。

観光分野でもデータが氾濫し始めています。KPI評価も乱用気味で、KPIの設定自体が目的になっているケースが散見され、まさに手段が目的化している事例は枚挙に暇がないようです。ビックデータの分析、そしてその分析結果を基にした観光政策の立案を担えるエキスパート人材の育成を急がなければなりません。

「データが絶対で、経験や勘はダメ」という考えを耳にすることもありますが、清水教授は必ずしもそうではなく、ビックデータを使いこなすために“経験”や“勘”が重要な働きをすることも指摘されていました。

マネタイズの視点

観光振興による地域活性化を検討する場をもうけると、さまざまな事業アイデアが出てくるものの、そのアイデアに対してどれだけの人がどれだけのお金を支払ってくれるのか、つまりマネタイズできるのかという視点が抜け落ちていることがよくあるそうです。マネタイズができて初めて持続可能な事業となるので、事業アイデアを構想する際は、マネタイズの視点を意識することが大事だとお話しされました。

清水教授の取り組み

アイデアソンのTipsとして清水先生が取り組んでおられる「東京の水辺空間の魅力向上化」「富士山登山鉄道構想」「高尾山周辺の駐車場レベニューマネジメント」「自然資本を活用した佐渡活性化」、これら4つのプロジェクトを紹介していただきました。

青木氏のKEY SPEECH

MATCHAとは
青木さんのKEY SPEECH

青木氏が2013年に創業され、訪日外国人旅行客への情報発信と、企業や地方自治体などの海外マーケティング支援をしている会社です。株式会社星野リゾートや株式会社スノーピークも株式会社MATCHAに出資をされています。

「日本の価値ある文化を時代とともに作っていく」を会社のミッションとして掲げ、「世界最大の訪日観光客のプラットフォームになる」ことをビジョンに、海外の人に日本に行きたいと思ってもらえるような質の高い情報をインターネットで提供されています。

MATCHAの特徴は、10言語に対応していること。中国語も簡体字と繁体字の2つに対応しています。そして、面白いのが「やさしい日本語」。日本語の初学者向けで、日本語の全てにふりがながつけてあります。

年間アクセス数は240万ほどで、訪日外国人旅行客全体の8-10%ほどが利用している計算です。国別では台湾からのアクセスが最も多く、中でも20-30代の女性が多くアクセスしている傾向のようです。

現場取材を重視されていて、「外国人観光客を受け入れたくない」あるいは「受け入れられない」といった場所もあり、勝手に情報を掲載することがないように配慮しているそうです。発信内容は、観光地や店舗の情報だけでなく、Suicaの使い方やタクシーの乗り方、ビールの注ぎ方などの情報も。日本人にとっては当たり前になっていることも外国人観光客には新鮮な情報で重宝されているようです。

起業したきっかけ

大学在学中に教授から「日本の文化は世界で流行しているが、そこで日本人はビジネスできていない」という話を聞き、チャンスを感じたそうです。そして、なんとその話を聞いた1ヶ月後に世界一周旅行に出て、7ヶ月間ほどかけて世界を旅行。

ロンドンでは美味しくないお寿司を買い求めるイギリス人が多かったり、イタリアのルッカでは20万人ほどが集まるコミック関連イベントに日本企業はほとんどブースを出しておらずビジネスチャンスを逃していると感じるなど、実際の様子を垣間見て、日本の魅力を世界に発信していく仕事をしたいという思いが強くなったそうです。

大切なことは情報や思いを共有すること

大学を卒業後、デジタルエージェンシーaugment5 inc.を経て起業された青木氏。起業してからは、良いことだけでなく大変なことも沢山あったそうです。

中でも編集者の9割が辞めてしまった時の経験から、社内のメンバーとビジョンやミッションを共有することの大切さを痛感し、「チャレンジしよう」「リスペクトしよう」「ユーザーファーストでやろう」という3つの指針を掲げ、社内でその指針を共有しているとのこと。

そして、「やりたいことを見つけたら、なるべく多くの人に話すことを大切にしている」と語られ、社内はもちろん、社外の人たちとも思いを共有することの大切さを力説。実際に実践されている青木さんの言葉には説得力がありました。

アイデアソン

アイデアソン

お二人のKEY SPEECHを踏まえて、アイデアソンを行いました。清水教授、青木氏、お二人からのお題に対して、当日参加されたみなさんで即席のチームを作って頂き、それぞれのチームで考えていただいたアイデアを発表していただきました。発表いただいたアイデアをこちらでも簡単にご紹介します。

清水教授からのお題

「東京の水辺空間でしてみたいことは何か?ぶっ飛んだアイデアを教えてください」

参加者からのアイデア

アイデア1: “水の上を走る体験”

水に片栗粉を一定量混ぜると物理的には、「速く走れば走れる、速度が遅いと沈む」という現象がある。50メートルくらいの場を作ってどこまでいけるか競う。出走権やグッズを販売して収益を得る。

アイデア2: “近未来的な高級クラブ船”

東京の魅力として未来感があるが、ナイトライフが他国と比較し弱いという弱点がある。事前予約なしで乗りたいときに乗れる高級なクラブ船を運行させる。

アイデア3: 夜間のLCCに対応した水上バスの運行

羽田到着のLCCには公共交通機関の動いていない時間帯の深夜便が多いので、都心向けに水上バスを運行する。オーストラリアでも水上バスは日常のインフラの一部になっている。途中の水辺の景色は必ずしも美観とは言えないところもあるが、そこは敢えて見せてもいいのではないかと思う。

青木氏からのお題

「MATCHAでの新規企画を提案するとしたら、どのようなアイデアがありますか?」

参加者からのアイデア

アイデア1: 食×エンターテイメントで日本のスポーツ観戦を促進

日本人はメジャーリーグなどを観戦しに外国に行くが、外国人はスポーツ観戦の為に訪日しない。バーベキューなどの食を絡めてスポーツ観戦を促進させるなどの事業。

アイデア2: 観光プラン提案機能

バックパッカーは出発と帰りの時刻のみを決めて自由に行動していることが多い。出発と帰りの時刻と場所を入力すると、大まかな観光プランを提案してくれるサービスがあれば外国人に喜んでもらえるのではないか。

アイデア3:他の閲覧ユーザーと繋がる機能

同じ情報を閲覧している観光客同士をつなぐことで、一緒に観光したり出会いが生まれるなど観光自体の満足度が上がるのではないか。

アイデア4:ガイドをしたい日本人とつなぐ機能

英語を上達させたいという目的も含めてガイドをしたい日本人も多くいると思うので、ガイドと観光客をつなぐサービスがあればいいのではないか。

アイデア5: ARを活用したナビゲーションシステム

既存の地図サービスではなく、立体的な視野でナビゲーションしてくれる機能があればスムーズに乗り換えなどが出来るようになるのではないか。

アイデア6: 在日外国人の中で根付いている日本文化の発信

日本の文化だけでなく、在日外国人などの中で根付いていたり、変化したり、進化した日本文化を発信していくといったことはコンテンツとしてありうるのではないか。

短い時間でしたが、たくさんのアイデアが生まれました。次回は、81plus株式会社代表取締役 岩本義樹 氏をゲストにお迎えし、「観光×IoT」をテーマに、IoTを活用した新しい観光の可能性を探っていきます。

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